「一般不妊治療」と「高度不妊治療」
「不妊治療」は、どの程度医療の力を借りるのか、において、
大きな違いがあります。
まず、どのケースでも初めに病院で、
女性側は子宮や卵巣の機能を調べる検査、男性側は主に精液検査を行います。
その結果に応じて、治療内容は決まっていきます。
「一般不妊治療」と呼ばれる治療は、
多くの場合、最初に行われるのは性交のタイミング指導、
薬剤や注射による排卵促進、人工授精などです。
人工授精では、精子を子宮内に精子を注入します。
その後、実際に注入された精子が卵子と出会い、受精し、着床し、
妊娠に至るまでの過程は自然妊娠と全く同じとなります。
人工授精で妊娠される方の約90%は4~6回目までに成功するため、
もしその回数行っても結果が出ない場合は
「高度不妊治療」である体外受精に治療内容を変更していきます。
ただし、最初の検査の結果、「受精」「着床」などのプロセスにあたるところで問題がありそうな場合や、
女性側が高齢で卵子の老化が考えられる場合は、
治療の早い段階で「高度不妊治療」にステップアップするケースもあります。
「高度不妊治療」である体外受精では、1978年に英国で世界初の体外受精技術による子どもが誕生しました。
日本では1983年に東北大で国内初の体外受精児が生まれています。
日本産科婦人科学会の発表によると、2012年に国内の医療機関で実施された体外受精の件数は約32万6千回。
その結果、産まれた子供の人数は3万7953人。
12年の総出生数は約103万7千人で、体外受精による子どもの割合は約27人に1人とのことです。
2006年度に体外受精で生まれたお子さんの数は約2万人、
新生児55人に1人の割合だったことから考えると、大幅に増加していることがわかります。
卵子提供は、卵子ドナーからの卵子の提供を受けて体外受精を行う方法です。
米国では、米生殖医学会のガイドラインでも、40歳以上には卵子提供が勧められています。
第三者がかかわるという点でそれまでの治療と大きく違う点はありますが、
「卵子提供」も、手法としては「体外受精」を用いる点で、「高度不妊治療」の一環ということができます。